2025/01/28(火)
相続不動産の名義を変更する際のポイントや注意点を知っておこう!
目次
はじめに
相続によって不動産を取得した際、その名義変更、すなわち「相続登記」は重要な手続きです。
2024年4月1日から、相続登記は義務化され、相続開始を知った日から3年以内に手続きを完了しなければなりません。これを怠ると、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。
ここでは、相続不動産の名義変更手続きについて、必要な手順や書類、費用などを解説します。初めての方でも理解しやすいよう、順を追って説明しますので、ぜひ参考にしてください。
相続登記とは?
相続登記とは、被相続人(亡くなった方)から相続人へ不動産の所有権を移転するための登記手続きです。
この手続きを行うことで、不動産の名義が正式に相続人のものとなります。
相続登記を行わないと、将来的に不動産の売却や担保設定が困難になるだけでなく、相続人間でのトラブルの原因ともなります。
相続登記の手順
相続登記は以下の手順で進めます。
1. 被相続人の戸籍収集
まず、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。
これにより、法定相続人を確定するための基礎資料を揃えます。
戸籍謄本は被相続人の本籍地の市区町村役場で取得できます。
2. 相続人の確定
収集した戸籍謄本を基に、法定相続人を確定します。
法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人々で、被相続人の配偶者や子供、直系尊属(親など)、兄弟姉妹などが該当します。
3. 遺産分割協議の実施
相続人が複数いる場合、遺産の分割方法を話し合う「遺産分割協議」を行います。
協議の結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員の実印を押印します。
この協議書は、後の登記手続きで必要となります。
4. 必要書類の準備
相続登記に必要な主な書類は以下の通りです。
- 被相続人関連
- 戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 除籍謄本
- 住民票の除票または戸籍の附票
- 相続人関連
- 戸籍謄本(抄本)
- 住民票
- 印鑑証明書
- 不動産関連
- 登記識別情報または登記済証(権利証)
- 固定資産評価証明書
これらの書類は、市区町村役場や法務局で取得できます。
5. 登記申請書の作成
法務局のホームページなどで提供されている様式を参考に、登記申請書を作成します。
記載内容に不備があると、申請が受理されない場合があるため、慎重に作成しましょう。
6. 法務局への申請
準備が整ったら、不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請を行います。
申請は窓口での提出のほか、郵送やオンラインでも可能です。
申請後、問題がなければ登記が完了し、新しい登記識別情報が交付されます。
相続登記の費用
相続登記にかかる主な費用は以下の通りです。
- 登録免許税:不動産の固定資産評価額の0.4%
- 必要書類の取得費用:戸籍謄本や住民票などの発行手数料
- 司法書士への報酬:専門家に依頼する場合の報酬(依頼する場合)
自分で手続きを行う場合、司法書士への報酬は不要ですが、手続きの煩雑さや専門知識の必要性を考慮すると、専門家に依頼することも検討すると良いでしょう。
相続登記を自分で行う際の注意点
相続による不動産の名義変更、すなわち相続登記を自分で行うことは可能ですが、専門的な知識と慎重な手続きが求められます。以下に、相続登記を自分で行う際の主な注意点をまとめました。
1. 必要書類の不備に注意
相続登記には多くの書類が必要です。
書類に不備があると、申請が受理されない可能性があります。
特に、遺産分割協議書には相続人全員の実印が必要であり、印鑑証明書の添付も求められます。
2. 登記申請書の記載ミスを避ける
登記申請書の作成は慎重に行う必要があります。
記載ミスや漏れがあると、法務局から補正の指示が出され、手続きが遅れる原因となります。
特に、不動産の表示や相続人の情報など、正確な記載が求められます。
3. 住所変更登記の見落とし
被相続人や相続人の住所が登記簿上の住所と異なる場合、住所変更登記が必要となることがあります。
これを見落とすと、相続登記が完了しない場合があります。
事前に登記簿の内容を確認し、必要に応じて住所変更登記を行いましょう。
4. 登録免許税の計算ミス
相続登記には、固定資産評価額に基づく登録免許税がかかります。
計算ミスや納付方法の誤りがあると、申請が受理されないことがあります。
正確な計算と適切な納付を心掛けましょう。
5. 原本還付の手続き
提出した書類の原本を手元に残したい場合、原本還付の手続きを行う必要があります。
具体的には、原本とそのコピーを提出し、原本還付の申請を行います。
この手続きを忘れると、原本が返却されないことがあります。
6. 法務局への申請方法
登記申請は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
申請方法には、窓口での提出、郵送、オンライン申請がありますが、初めての方は窓口での提出を検討すると良いでしょう。
窓口での提出では、担当者に直接質問や確認ができるため、手続きの不備を防ぐことができます。
7. 専門家への相談を検討
相続登記は複雑な手続きが多く、専門的な知識が求められます。
自分で手続きを行うことで費用を抑えることは可能ですが、手続きのミスや遅延を避けるため、司法書士などの専門家に相談・依頼することも検討しましょう。
特に、相続人間での意見の不一致や、複雑な権利関係がある場合は、専門家のサポートが有効です。
まとめ
以上の注意点を踏まえ、相続登記を進めることで、手続きの円滑化とトラブルの回避が期待できます。
不明な点や不安がある場合は、専門家への相談を積極的に行いましょう。